大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合 毎週日曜 午後8:00~ほか)で、吉川平助を演じる松岡広大さん。

念願の初出演への思いや撮影現場でのエピソードを振り返ります。

さらに、3年ぶりのミュージカル出演となる『FOUR MINUTES -4分間のピアニスト-』への思いや、「認められたい」という気持ちに対する自身の考えについても語ってもらいました。

「願い続けてよかった」29歳で叶った大河ドラマ出演

――大河ドラマ『豊臣兄弟!』への出演が決まったときの、率直なお気持ちを教えてください。

率直に、とても嬉しかったです。30歳までに出演することを目標にしていたので、29歳ってラストイヤーじゃないですか。28歳ぐらいのときには「もう30歳まではないな」と思って、一度は「じゃあ次に生かそう」と気持ちを切り替えていたんです。でも、29歳の本当にギリギリのタイミングでお声がけいただいて。願い続けてよかったなと思いました。

今回が大河ドラマ初出演だったのですが、やっぱり何より楽しかったのはお芝居ですね。諸先輩方と一緒にお芝居ができたことが、本当に幸せでした。

また、お着物を着て、月代にして、所作も丁寧に行って、普段とは違う言葉を使う。その一つひとつが新鮮で、非常に楽しかったです。

撮影の合間には、家臣団の人たちと前室でずっと話していたんです。「最近何した?」「最近ここ行った?」みたいな本当にプライベートな話から、例えば(桑山重晴役の)住田隆さんに「当時のお笑いのシーンってどうだったんですか?」「どういった経緯で俳優をやるようになったんですか?」「これまで何をしていたんですか?」と聞いたり。そういう身の上話を伺う時間もすごく楽しかったですね。

僕、その人が何をしているのかとか、何に興味があるのかを知るのが好きなんです。芝居は芝居で当たり前に楽しいですし、そうやって共演者のみなさんのお話を聞ける時間もすごく充実していました。

商人出身の吉川平助。「頭で思い描いていたものとは全く違うものになった」

――今回演じられる吉川平助には、どのように向き合われましたか?

まず、平助は商人の出なので、元は武士ではないんです。だから、ほかの方たちのような血の気の多い人物ではないということは意識しました。

商人って、市井の人々と直接出会って、話して、物を売り買いする立場じゃないですか。だからこそ、その目線は大事にしたいと思っていました。元商人が家臣として受け入れられたときに、商人としての才覚を生かせたらいいなと考えて、無邪気で、はつらつとした雰囲気を意識して演じていました。

ただ、台本を読んだときに頭の中で思い描いていたものと、実際に現場で出来上がった人物像はガラッと変わりました。

脚本を読んだ段階では、自分なりのイメージがあったんですけど、実際に現場でテストや本番を重ねていく中で、少しずつ変わっていったんです。リハーサルでも「登場する場面では、もう少し元気や活力を抑えて、厳かな雰囲気にしたらどうか」といった話をしながら、物語が進むにつれて平助に力が漲ってくるような人物像をつくっていきました。結果的に、最初に頭で思い描いていた平助とは、全く違うものになりました。

ここから物語としても、さらに面白くなっていきます。

平助は、秀長(仲野太賀)と秀吉(池松壮亮)の兄弟の間に不和を生じさせるきっかけとなる役でもあるんです。史実にもあるのですが、それを知ったときは「はあ……俺のせいだ」と思って(笑)。

それだけ物語にとって大事な役なので、そこに向けて責任を持ってお芝居をしていました。

3年ぶりのミュージカル。「自分がどう変わったのかも楽しみ」

――『FOUR MINUTES -4分間のピアニスト-』では、3年ぶりのミュージカル出演となりますが、今のお気持ちを教えてください。

オーディションのお話をいただいて、「受けます」とお返事をしてから、準備をして、実際にオーディションを受けて、合格して。久々のミュージカルなので、まずは楽しもうと思いました。

3年ぶりですし、この3年間は人前で歌う機会もあまりなかったので、その間に自分がどう変わったのかも楽しみです。歌の表現もきっと変わっていると思いますし、逆に変わっていないところがあれば、それはそれで認めたいなと思っています。

ドイツ人を演じるのも今回が初めてなので、そこも楽しみですね。

原作の映画はすごく静謐で、静と動で言うと「静」の印象が強い作品なんです。でも、その静けさの中にも、登場人物の内面ではさまざまな動きがあって、それが舞台上でどのように表現されるのか、非常に楽しみにしています。

それに、看守という役を演じるのも初めてなんです。僕、大体捕まってばかりなんですよ(笑)。映像でも舞台でも、捕まったり、非業の死を遂げたり、惨たらしく殺害されたりすることが多かったので、今回はどうなるのか楽しみです。

「認められたい」という気持ちから離れて見えたもの

――松岡さんが演じるミュッツェには「認められたい」という感情があると思いますが、松岡さんご自身は承認欲求について、どのように捉えていますか?

そういうものは、最近なくなりました。もう無縁になったというか。

20代前半から26歳ぐらいまでは「認めてほしい」という気持ちも正直ありました。でも、認められる・認められないということって、自分で判断できることでも、コントロールできることでもないなと思ったので、考えるのをやめたんです。

ただ、その気持ち自体は分かります。過去の自分が抱いていた感情と、今の自分なりの承認欲求に対する考えをつなげていけば、一筋縄ではいかないとは思いますが、役を演じる上でも何か掴めるのかなと思っています。

承認欲求って、そもそも何なんですかね(笑)。僕は、誰もがただそこに存在しているだけで、認められているような気がするんです。一人ひとり、その人だけの固有の何かを持っているわけじゃないですか。

「認められたい」と思うのは、やっぱり周りと比べているからだと思うんです。「同じになりたい」というか。でも、同じになったらなったで、一つのグループとしてまとめられて、結局“あなた”じゃなくなってしまう気がする。それって意味がないんじゃないかと思って。

(後編へ続く)

撮影:遥南 碧/ヘアメイク:木内 真奈美/スタイリスト:加藤 志保

−−−
information
−−−

大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)

[放送情報]
NHK総合 毎週日曜 20:00〜20:45 ほか
NHK ONEにて同時・見逃し配信中

[あらすじ]
豊臣秀吉の弟・秀長を主人公に、兄弟の歩みを描く大河ドラマ。
松岡広大は、商人出身で、その経験を生かして秀長を支える家臣・吉川平助役を演じる。

[公式HP]
https://one.nhk/toyotomi-kyodai

–−–

ミュージカル『FOUR MINUTES -4分間のピアニスト-』

[公演情報]
東京公演:2026年12月7日(月)~27日(日)
東京芸術劇場 シアターウエスト

大阪公演:2027年1月10日(日)・11日(月・祝)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

[あらすじ]
ドイツ映画『4分間のピアニスト』を原作に、獄中の天才ピアニストとピアノ教師が音楽を通じて心を通わせていく姿を描くミュージカル。
松岡広大は、ピアノ教師に認められることを願う看守・ミュッツェ役を演じる。

[公式サイト]
https://www.umegei.com/fourminutesjp/