Casual Meets Shakespeareシリーズは「普段着でシェイクスピア」がコンセプト。
シェイクスピア作品を「高尚かつ難解なもの」としてではなく、話の骨格や魅力的なセリフ回しを生かしつつ、あくまで現在の日本で上演する演劇作品として脚色、上演していくシリーズ。
これまでに『夏の夜の夢』『ロミオとジュリエット』『十二夜』『マクベス』『じゃじゃ馬ならし』『ハムレット』『オセロー』『ヴェニスの商人』が上演され、初演の2013年より10年を超えて、長く愛されるシリーズとなっている。
今回の『Romeo and Juliet OC』は、戯曲通りの性別におけるキャスティングのO(Original Cast ver.)、戯曲内の性別と演じる俳優の性別を逆転したキャスティングのC(Cross Cast ver.)の 2 バージョンで上演。
演出・脚色には、MANKAI STAGE『A3!』シリーズや、「チェンソーマン」ザ・ステージなど、2.5次元舞台を中心に数多くの作品で演出・脚本を担当している松崎史也がつとめる。
歴史ある戯曲に忠実に、だけど親しみやすく描かれた「新しいロミジュリ」。
物語を知っている方はもちろん、これまでシェイクスピアに触れる機会を逃してきた方も楽しめるような内容になっている。美しく細部まで作り込まれた舞台セットや、生演奏での劇伴とともに繰り広げられるシェイクスピアの世界に、きっと誰もが魅入られる。『Romeo and Juliet OC』は9月25日から10月4日まで東京芸術劇場シアターウエストにて上演中。千秋楽公演は、ライブ配信も決定している。
miruneでは、Cross Cast ver.でジュリエットを演じる笹森裕貴さんにインタビュー。他作品で「マーキューシオ」を演じたことのある笹森さんが、今度はジュリエットの視点からみるロミジュリとは。女性役・初挑戦の心境についてもお話ししてもらいました。(前編)

――Casual Meets Shakespeareシリーズは「普段着でシェイクスピア」がコンセプト。
ただの「シェイクスピア」ではない、このシリーズの良さはどこか教えてください。
僕もそうなのですが、今の時代、本を読む習慣がある方が少なくなってきていると思います。そういった普段あまり本を読まない方でも、本作のロミジュリはキュッとしてて、見やすいんじゃないかな、というのがひとつあります。シェイクスピアの入り口として、とても見やすいものになっている印象です。
原作のセリフを全て舞台上で表現しようとすると膨大なセリフ量ですし、決められた時間の中で描ききれない。ダイジェスト、という表現も違うけど、しっかりと作品の良さを捉えつつ、スポットを当てて見やすくしていることが、このシリーズの大きなひとつのテーマなのかなと思っています。
僕は、Cross Cast ver.(戯曲内の性別と演じる俳優の性別を逆転したキャスティング)で女性役のジュリエットを演じるのですが、ウィッグを被ることなく地毛で演じますし、衣装についても、華やかではあるけど女性らしさを全面に出していない衣装なので、「女性になるんだ」というよりも「ジュリエットになる」という気持ちになりましたね。

――これまでシェイクスピア作品に触れたことはありますか?
以前、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』に出演させていただいたことがあります。役者になるまで、きちんと本を読んだことがなかったし、これじゃいけないと思ってがんばって読書をしてた時期もあったんですけど、なかなかシェイクスピアを読もうとは思わなかったんです。なんとなくタイトルは分かるけど、きちんと内容まで触れる機会が、そのミュージカルで初めてでした。
タイトルも話も同じだけど、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』と今回のCasual Meets Shakespeareシリーズの『Romeo and Juliet OC』は、全く違う印象を受けます。ミュージカルは歌で表現されるし、そのときはマーキューシオという男性の役だったので、今回ジュリエットとしてロミジュリに触れてみて、こうも見え方が違うんだなと。原作が同じ作品なのに、役が違うとこんなに違いを感じるんだなと思いましたね。
――具体的に見え方の違いを感じたところはどこでしょうか?
マーキューシオはモンタギュー家(ロミオの家)、ジュリエットは対立するキャピュレット家なので、そこからもう、違いを感じますね。互いの家の見え方が違います。あとは、細かいところなんですけど、ミュージカルでは「マーキューシオ」、今回は「マキューシオ」なんです。伸ばす位置が違って……(笑)。どちらも正解だとは思うのですが、先にミュージカルに出演していたので「マーキューシオ」に慣れていて。マキューシオに慣れないんですよね(笑)。
あとは、Cross Cast ver.でマキューシオを演じられている星波さんが「マキューシオ!」って呼ばれると、少し反応しちゃいます。ミュージカルに出演したのは2年くらい前なのですが、それくらいミュージカルも印象的な演目でしたね。

――『Romeo and Juliet OC』は、ミュージカルでなくストレートプレイでの演目となりますが、そこの面でも違いは感じましたか?
ストレートだと、これぞ演劇としてのロミジェリ!というイメージをより強く感じるかな。ミュージカルだと、セリフがほぼ歌だったので、細かい言い回しというよりは、歌でどれだけ表現するかだったんです。それもすごく大変だったし、相当な技術がいることではあると思うけど、今回は本当に芝居だけで表現しなくてはならないので……。
原点といいますか、シェイクスピアを演劇で魅せる、ってこういうことから始まっているんだろうなと。ミュージカルもストレートも、どっちも難しさがありますし、手応えがありますね。
もう、(松崎)史也さんのディレクションがめちゃくちゃ分かりやすいんです!今まで意識していたはずだけど、拾いきれていなかった部分とか、シェイクスピアみたいな本を読むときは、こういう風にしたほうがいいとか。
句読点のひとつを取っても、それぞれに意味があって付いていることを教えていただきました。というのも、どんどん役に入っていくと、セリフのここで区切りたくなっちゃうなと感じる場面もあるんです。でも台本にはひと息で書いてある。
例えば読点が全くない2行くらいの長台詞で、役者である僕は読点をつけたくなっちゃうけど、ひと息で言ったほうがお客さんには分かりやすかったりする。やはり意味があって台本があるので、そこはちゃんと汲んで、意識して稽古している最中ですね。

――今回、笹森さんはCross Cast ver.で自身と違う性別のジュリエット役を演じられます。
女性役を演じることは初めてでしょうか?稽古中に苦労している点や、役作りとして取り入れていることがあれば教えてください。
女性役は、はじめてですね。女装をしている男の子の役はやったことがあるのですが、女性役は今回がはじめてです。
今は模索している最中ですが、正直最初はもう、どうすればいいんだろうって気持ちでした。求められている女性像も分からなかったし、すごく怖かったです。というのも、僕は声が低いので、女性みたいな高い声は当然出ない。体型についても、170㎝後半の大きい男がジュリエットを演じるだけで、シルエットの存在感があるし、否が応でも舞台上で目立つと思うんです。なので、今僕がこうして感じている窮屈感のようなものも、ひとつの表現として残そうと思っているし、女性になろうと思っても、男性である僕は女の人にはなりきれないので、自分なりの新しい解釈を今ちょっと掴みかけているところですね。
ロミオに恋をしていれば、自然とジュリエットになれると思っています。姿勢や歩きかた、歩幅とか、細かいところはとことん詰めていかなければいけないですが、でも変な話、ちょっとした動きとか声の高さとか、所作の面だけでは勝負したくないという気持ちもありますね。
――外見的な女性像、というよりも内面的な女性像を表現するということでしょうか?
そうですね。完全に女性になることを求められているのであれば、多分僕よりももっと適任の役者がいると思うんですよ。でも、そうじゃなくて、170㎝後半で声が低い僕がキャスティングされている。そこには、すごく意味があると思っているので、自分に求められていることを、しっかり表現したいと思っています。
撮影:遥南 碧(インタビュー写真)・塚田 史香(稽古場写真)/ヘアメイク:戸田 小雪/
構成・取材・文:時枝 七奈
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Casual Meets Shakespeare『Romeo and Juliet OC』

[あらすじ]
舞台はイタリア、ヴェローナ。
二つの名家モンタギュー家とキャピュレット家は長きに渡り諍いを続けている。
ある夜、モンタギュー家の一人息子ロミオは、友人たちと仮面舞踏会に忍び込み、キャピュレット家の一人娘ジュリエットと恋に落ちる。
許されざる二人の恋はやがて両家を大きく巻き込んでいく。
これは、愚かな美しきを見つめる物語。
出演|O(Original Cast ver.) / C(Cross Cast ver.)
ロミオ 役:阪本奨悟(O) / 七木奏音(C)
ジュリエット 役:黒川桃花(O) / 笹森裕貴(C)
ティボルト 役:田口涼(O) / 藍染カレン(C)
マキューシオ 役:伊崎龍次郎(O) / 星波(C)
ベンヴォーリオ 役:前川優希(O) / 伊藤優衣(C)
パリス 役:石田隼(O) / 田上真里奈(C)
乳母 役:ザンヨウコ(O) / 鈴木裕樹(C)
ロレンス神父 役:鯨井康介(O) / 三枝奈都紀(C)
モンタギュー 役:古屋敷悠(O) / 熊野ふみ(C)
モンタギュー夫人 役:谷茜子(O) / 永石匠(C)
キャピュレット 役:澤田拓郎(O) / 林千浪(C)
キャピュレット夫人 役:新原ミナミ(O) / 阿瀬川健太(C)
ピーター 役:小林賢祐(O) / 栗本佳那子(C)
バルサザー 役:石田流星(O) / 笠松遥未(C)
ヴェローナ公 役・語り:赤澤燈
アンサンブル:天木奏喜 荒木優那 多賀仁美 富樫萌々香 夏目琉生 秦穂香 広瀬蓮 藤沼聡汰
カルテット
ヴァイオリン:向江陽子 三輪紫乃 島田光理
ヴィオラ:大辻ひろの 世川すみれ
チェロ:清川水鳥 築地杏里
原作|W・シェイクスピア
脚色・演出|松崎史也
翻訳|松岡和子
音楽|こおろぎ
美術|角田知穂
照明|大波多秀起
音響効果|天野高志(RESON)
衣裳|車杏里
ヘアメイク|瀬戸口清香
ステージング|當間里美
アクション監督|船木政秀
演出助手|小林賢祐、髙久健太
舞台監督|渡邊歩(RESON)
舞台監督助手|藤本貴行(RESON)
美術助手|西村香音
宣伝写真・宣伝美術|圓岡淳(Atelier caprice orchestra)
宣伝映像|坂田直貴(劇団プレステージ)
ジェンダー表現監修|若林佑真
舞台手話通訳|田中結夏(となりのきのこ)
手話監修|緒方れん(エンタメロード)
バリアフリー字幕制作|パラブラ
感想シェア会コーディネート|NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)
制作|中尾莉久、松嶋奈々夢、西尾明日花
制作統括|半田桃子
マネジメント協力|Don-crew、fennec、CRAVE、オムニア、CRG、キャストコーポレーション、FabFactory、ジーク・エンターテインメント、ドルチェスター、イマジネイション、プロダクション尾木、SOS Entertainments、アーティストクルー、スワロウ、レべリズムスタンド、オレンジ、ミーアンドハーコーポレーション、ENA ENTERTAINMENT、ブルーエール、スターダストプロモーション、劇団ひまわり、bamboo
制作協力|momocan
助成|芸術文化振興基金
主催|SP/ACE=project
[公演スケジュール]
東京芸術劇場 シアターウエスト
2026年9月25日(金)~10月4日(日)
[ライブ配信]
・10月4日(日)12時公演【O】Original Cast ver.
・10月4日(日)16時公演【C】Cross Cast ver.
※2週間のアーカイブ配信あり、10月17日(土)23:59までご視聴いただけます。
視聴チケット価格:各4,000円(税込)
チケット発売日時:9月19日(土)12:00
https://eplus.jp/sf/detail/4015360002-P0030009?P6=001&P1=0402&P59=1
[鑑賞サポート実施のご案内]
対象公演
9月30日(水)13:00【C】♥/18:00【O】◎
10月2日(金)13:00【O】♥/18:00【C】◎
鑑賞サポート内容
♥=バリアフリー字幕タブレット貸出/受付・ロビーでの手話通訳対応
◎=舞台手話通訳:田中結夏(となりのきのこ)/終演後ロビーにて感想シェア会を実施/バリアフリー字幕タブレット貸出/受付・ロビーでの手話通訳対応
以下の鑑賞サポートは全公演にてご利用可能です。希望される方は事前にお問い合わせください。
・台本貸出(紙またはタブレット)
・車いす対応
・ほじょ犬対応
・ヒアリングループ
鑑賞サポートのお問い合わせ・バリアフリー字幕タブレット対応席のご予約
UDCastサポートセンター(平日10:00~17:00)
TEL:0120-291-088 FAX:03-5937-2233 Mail:info@udcast.net
https://udcast.net/workslist/cms2026/
[公式サイト]
https://casual-meets-shakespeare.com/romeoandjuliet
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