前編では、大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合 毎週日曜 午後8:00~ほか)への初出演や、3年ぶりのミュージカルへの思いを語ってくれた松岡広大さん。

後編では、俳優として歩み続ける中で改めて大切さを実感した、人との「縁」について。十数年の時を経て再び仕事をともにした人々とのエピソードや、続けてきたからこそ感じられた喜びを振り返ります。

さらに、芝居で大切にしていることや、人との出会いを通じて形づくられてきた自身の美学についても語ってもらいました。

松岡広大さんの内面に迫る、インタビュー後編をお届けします。

諦めずにいたから分かった、「縁」というもの

――20代最後の一年を迎えた今、俳優として改めて大切だと感じていることはありますか?

改めて大切なんだと感じたのは、「縁」ですね。

今回の大河ドラマ『豊臣兄弟!』の監督に渡邊良雄さんという方がいらっしゃるんですけど、実は僕が中学生のときにNHKで出会っているんです。10代の頃に演出をしていただいて、その後、NHK連続テレビ小説『らんまん』で再びご一緒して、今回また大河ドラマでご一緒することになって。

十数年経っても、こうして一緒に仕事ができる。それは、僕が俳優を辞めずに続けてきたからでもあると思うんです。

実は20代半ばの頃に、一時期「このままだとちょっと立ち行かないかな」と考えたことがありました。でも、諦めずにいたからこそ、大河ドラマへの出演も決まって、またご一緒することができました。

ミュージカル『FOUR MINUTES -4分間のピアニスト-』でも、以前からご一緒したいと思っていた方や、それまで一方的に拝見していた方と一緒に仕事ができます。

この後に出演するミュージカル『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』もそうです。以前出演した舞台『スリル・ミー』や『ねじまき鳥クロニクル』でご一緒したスタッフさんが参加されていたりするんです。

続けていないと分からないことって、すごくあるなと思いました。

僕も相手のことを覚えているし、相手にも僕のことを覚えてもらっている。そういう出会いをないがしろにせず、大切にしてきたことが、今に繋がっているのかなと思います。

十数年経って再会して、また一緒に仕事ができるというのは、ちょっと言葉にならないですね。言葉にすると陳腐になってしまうくらいの喜びがあります。

変わらない「頑固さ」と、芝居に欠かせない「呼吸」

――昔から変わらず大切にしているものはありますか?

頑固なところですね。でも、頑固であることも大切だと思っています。

僕にとっての頑固さって、自分の意見を大事にすることなんです。つまり、他人に意思決定を委ねないということ。そういう意味では、自分でも頑固だなと思いますね。

自分の美学に反するものはやらない。ただ、だからといって最初から拒否するわけではなくて、一度は試してみるんです。実際にやってみて、自分の中にあるものを壊したり、傷ついたりしたこともありますけど、それでも一度は向き合ってみる。ただ、そこに至るまでが、やっぱり頑固なんですよね。

今もその頑固さがなくなったわけではないですし、変わらず持っている部分だと思います。

それから、芝居をする上でずっと大事にしているのは「呼吸」です。

「息を合わせる」とか「阿吽の呼吸」とかって言うじゃないですか。お芝居って、本当にまさにそうなんです。芝居をしていると、台詞を喋るときにかえって息を止めがちになることがあって。

以前、海外の演出家のワークショップで「呼吸することが一番力になる」と教えてもらったんです。実際に呼吸を意識してみたら、随分と芝居も楽になりました。

呼吸というものは、芝居だけでなく、生きていく上でも大切なことだと思いますね。

出会いから形づくられた美学。大切にするのは「品性」

――松岡さんにとっての「美学」は、どこから生まれているのでしょうか。

どこからでしょうね。これまで関わってきた人たち、出会ってきた人たちだと思います。

僕、「この人の美しさは何だろう」「美しさの源泉は何だろう」「この人をこの人たらしめているものは何だろう」と考えるのが好きなんです。

人との出会いが、美学について考えるきっかけになることが多くて。そこからいろいろと考えたり、本を読んだり、哲学に触れたり。そうやってさまざまなものを吸収する中で、自分なりの美学が形づくられてきたんだと思います。うまく説明できていないかもしれませんが(笑)。

その中でも、大事にしているのは「品性」ですね。

品性って、例えば物を一つ取るときの所作にも表れるし、発する言葉にも表れる。でも、そういうことって、お金をかけなくても、意識一つでできるじゃないですか。

だから、品格とか品性とか、そういうものは大切にしています。

|松岡広大さんから、メッセージ|

――最後に、これからの出演作品を楽しみにしている方や、mirune読者のみなさんにメッセージをお願いします。

これから大河ドラマでは、僕が演じる平助にあることが起きます。とんでもないことになっちゃうんですけど、まずは大河ドラマを見続けていただきたいです。

見続けていただければ、僕が演じた吉川平助という人物がどのように描かれてきたのかが分かると思うので、ぜひ確かめていただきたいです。

そして、もし『豊臣兄弟!』を見て、「ちょっとこの人の芝居を生で見てみたいな」と思っていただけたら、ぜひミュージカルにも足を運んでいただきたいです。

ドラマをきっかけに舞台を見に来ていただくというのも、僕はとてもいいことだと思っています。演劇を見たことがない人にこそ、演劇を見てほしいという思いでやっているので。

そうやって興味を持っていただけること自体が、すごく嬉しいんです。そうやって生まれた好奇心は、もしかしたら小さなものかもしれないですけど、とても輝いたものだと思うんです。

劇場に行くのは少し勇気がいることかもしれません。でも、昨今はミュージカル映画もありますし、ミュージカル自体も身近になってきていると思うので、あまり肩肘を張らず、緊張せずに来ていただけたら嬉しいです。

命を懸けてお芝居をやっています! ぜひ見に来てください!

撮影:遥南 碧/ヘアメイク:木内 真奈美/スタイリスト:加藤 志保

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information
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大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)

[放送情報]
NHK総合 毎週日曜 20:00〜20:45 ほか
NHK ONEにて同時・見逃し配信中

[あらすじ]
豊臣秀吉の弟・秀長を主人公に、兄弟の歩みを描く大河ドラマ。
松岡広大は、商人出身で、その経験を生かして秀長を支える家臣・吉川平助役を演じる。

[公式HP]
https://one.nhk/toyotomi-kyodai

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ミュージカル『FOUR MINUTES -4分間のピアニスト-』

[公演情報]
東京公演:2026年12月7日(月)~27日(日)
東京芸術劇場 シアターウエスト

大阪公演:2027年1月10日(日)・11日(月・祝)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

[あらすじ]
ドイツ映画『4分間のピアニスト』を原作に、獄中の天才ピアニストとピアノ教師が音楽を通じて心を通わせていく姿を描くミュージカル。
松岡広大は、ピアノ教師に認められることを願う看守・ミュッツェ役を演じる。

[公式サイト]
https://www.umegei.com/fourminutesjp/